2006-08-21

折れない心

最後は、144kのストレート。
決勝戦は最後まで、早実・斎藤の試合だった。
ハンカチ王子などとふざけたあだ名をつけられ、アイドル扱いされた斎藤だが。その強心臓は並ではない。
感情を押し殺し、無表情で投げ続け。最終回、1点差に詰め寄られながら、それでも冷静さは失わなかった。
試合後、堰を切ったように泣きじゃくる姿こそ、真の彼の心境だったはずだ。
あれだけのプレッシャーを周囲にかけられ、一人で闘い続け。最後には勝利を収めた彼に。彼の折れない心に。祝福の拍手を送りたい。

勝負を分けたのは、投手の差だった。
菊池先発策は、仕方なかったのだろう。
崩したフォームのまま連投を続けたツケは、田中により重くのしかかっていた。
ストレートが走らない。スライダーとチェンジアップでカウントを稼ぎに行くが、コースが微妙に外れ続ける。
駒苫の4失点は、菊地が与えたものも含め何れも四死球絡みのものだった。
今日の斎藤からは、大量点は望めない。
だが。それでも、選手達は諦めなかった。
9回表。3点差。もはや絶体絶命である。
甲子園によくあるシーン。ベンチで選手が泣き出す。打席で目が泳ぐ。
駒苫には、全くなかった。1回早々に降板した菊池も。代打で打てなかった岡田も。
普通なら真っ先に泣き出すような結果を残せなかった選手が、ベンチ最前列で声を嗄らしていた。
最後まで誰一人、俯くことすらしなかった。
みんなの想いを乗せて。中沢の打球は、スタンドまで飛んでいった。
北照を。青森山田を。東洋大姫路を。智弁和歌山を。連覇の実績も後ろ盾に、打ち砕いてきた諦めない心は。最後まで折れなかった。
そして、その駒苫の重圧にも、最後まで屈しなかった斎藤。

良い決勝戦だった。
熱い夏が、今年も終わった。

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