2007-05-14

喫煙者にも三分の理

私は、タバコを吸う人間である。全ての喫煙者がそうであるように、現代社会はなかなかに肩身が狭い。
一度「喫煙=悪」に振れてしまった世の中というのは、そうそう元には戻らないものらしい。
別に、特段言い訳は、しない。タバコは確かに体に悪いだろう。風邪を引いてタバコを吸ったときの不快感で、容易に察しがつく。だから、人には私なりに気を遣う。
副流煙はもっと悪いらしいから、基本的には人前や屋内でタバコを吸わないようにしているし、会社で吸うときは給湯室の換気扇の下、自宅では玄関を出て吸うようにしている。
朝の通勤中に1本。午前中に2本。昼飯中に2本。午後2本。帰宅中に1本。帰宅後2本。判で押したようにこの1日10本ペースでしか吸っていない。
それでも、やめようとは思わない。好きだから吸っているので、決してやめようとは思わない。
家族に車や服がヤニくさいからやめろとか言われるのはまだわかるが。大して関わりの無い人にまで言われるのは納得がいかない。
何より、善悪の前には論理があるべきだと思っている私には、禁煙運動家のあまりに単純な善悪二元論が面白くないのである。

先週、また、というべきか、禁煙論者が泣いて喜びそうな記事が各紙に掲載されていた。
以下全文引用。

喫煙、40歳男性で寿命3・5年縮める…厚労省研究班調査


 たばこを吸う男性は、吸わない男性に比べて40歳以降の余命が約3・5年短くなることが、厚生労働省研究班(研究班長・上島弘嗣滋賀医大教授)の大規模な疫学調査でわかった。
 寿命に対する喫煙の影響が、具体的な数値として明らかになったのは国内で初めて。喫煙対策の重要性を示す研究として注目される。

 1980年に、全国300か所の保健所で健診を受けた男女約1万人(平均年齢約50歳)を対象に、喫煙習慣の有無や喫煙量を質問し、1999年まで追跡調査。亡くなった約2000人の年齢と喫煙習慣から平均余命を算出した。
 その結果、80年時点でたばこを吸っていた男性の場合、40歳時の平均余命は38・6年で、吸わない男性の42・1年に比べ、3・5年短かった。1日に2箱以上吸う男性の余命は38・1年で、非喫煙者との差が4年に拡大した。
 65歳男性では、喫煙者の余命は16・8年で非喫煙者は19・3年。女性の場合、吸う人の40歳時の余命は43・4年、吸わない人は45・6年で、いずれも喫煙者が短くなった。
 80年の時点では、調査した男性の喫煙率は62%と高く、その後も高率で喫煙を続けたとみられる。一方、途中で禁煙に転じた人がいる可能性もあり、研究班では、仮に誰も禁煙しなかったら余命格差はさらに広がったとみている。
 調査時、「禁煙した」と答えた人の余命は、大半の世代で喫煙者と非喫煙者の間の値となり、禁煙が余命を延ばす効果も確認された。
 
 喫煙が寿命を縮めるのは、肺がんや脳卒中、心筋梗塞(こうそく)による死亡率が高まるためで、研究を主導した村上義孝・滋賀医大特任講師は「平均寿命が3・5年短くなることは、ほぼ20年前の寿命に逆戻りしたことに匹敵する。たばこの影響は大きい」と話している。
 海外では、喫煙が寿命を短くする数値を示した研究がある。日本では、喫煙で肺がん、心筋梗塞の死亡率が高まるとの報告はあるが寿命への影響を調べた研究はなかった。2005年、日本人の喫煙と寿命の関係についてただした民主党衆院議員の質問主意書に対し、政府は「数値等の資料がないため、回答は困難」と答弁書を出している。
 
 国の調査では、2005年の日本人の平均寿命(0歳時の平均余命)は男性78・56歳、女性85・52歳。この差にも、喫煙習慣の男女差が大きく影響していると研究班ではみている。
 
(読売新聞ON LINE 2007年5月9日AM3:02の記事 ≫ Googleキャッシュ)

はあ。そうですか。としか言えない。
3.5年ぐらいの差は、そりゃあ出るだろう。タバコが体によくないのはわかりきっている。
私の感覚ではむしろ、なんだたかが3.5年か、となるのだが。この記事を読んだ禁煙論者ではそれが3.5年も!になるし、男女の平均寿命の差も喫煙習慣の差に違いない!になってしまうのだろうから、取りつくしまも無い。
 
何度も言うが。タバコは確実に私の体によくない面がある。それは、わかっている。
しかし、この数値をもって百害あって一利なしだとか、諸悪の根源は全てタバコにありだとか、そこまで言えるほどのものなのか、よくよく考えてみてもらいたいのだ。
体に悪いのは、何もタバコだけではない。同じような研究は、例えば毎日酒を呑む人について、だとか、定期的な運動習慣を持たない人、だとか、肥満度だとか、塩分摂取量だとか、コレステロールだとか、誰でも思いつくような他の「体に悪いこと」については、行われていないかもしくは行われていても騒がれていないのだ。
ちなみに、喫煙者の視点で見れば、百害あって一利なしどころか二・三利ぐらいは利だってある。何より吸ってうまいと思っているのだから、それは当人にしてみれば利であろう。
百害あるのは承知の上だから、少なくとも私は量を減らすことを心がけているし、吸える場所そのものが少なくなったこのご時世、多くの喫煙者もそうではないだろうか。
わかっちゃいるけどやめられない、ことは実は誰にだって1つや2つある。
夜中までパソコンや携帯にへばりついてネットをしていても、世のためにも自分の健康のためにもよくないのはわかりきっているのに。やめられない人は大勢いる。楽しい楽しくない以前にやめられないのだろう。
それがひどい非難に遭うか遭わないかを分かつのが、本質的な善悪の多寡よりも善悪の「わかりやすさ」と否定者の「声の大きさ」しかない、ように、非難される側からは見えるのだが。
 
いい悪いだけで簡単に片付けられないことは、世の中たくさんある。むしろ、ほぼ全ての事柄にいいことも悪いことも含まれている。
いいか悪いか、どちらがより強いかがわかりやすい時、わかりやすく見え、わかりやすいことと誰かが大声で叫び、それを多くの人で共有した場合、大衆心理というのは暴走を始める。
「いいこと」は一般にわかりにくいのに対し、「悪いこと」はわかりやすいので、魔女裁判や村八分のようにエスカレートしやすくなる。
昔の話ではない。今だって、誰かが大声で「廃業してもらいたいッ!!」とこめかみに血管を浮かべていれば、被害者がいないことも、期限切れ食品を自分もしょっちゅう食べていることも忘れて倒産寸前まで叩く。
わかりやすいことにも、間違いは含まれている。歴史が証明してきた誤謬を、人は繰り返し続けていくんだろうか。
 
と、ここで一服してきたわけだが。
やっぱりうまいよ。
吸う人はほどほどに、吸わない人はご自由に、ぐらいで片付くことだと思うんですけど。
しなない程度に量も減らすし迷惑は極力かけないようにするから許して下さいおながいしまつ

3 comments:

Anonymous said...

こんにちは☆

先日は匿名でしか入力出来なかったゆえ
改めて自己紹介させていただきます。

あたくしマリアと申します。奇しく?も三治さんと同郷の北海道は札幌在住です☆
そして、プロフィールにある『本当に自分の思うことを思うままに言えば・・・』の言葉に、至く共感を覚える者のひとりですわ♪

早速ですが、前回の「素直」と同様に「純粋」を意識しすぎて反って「不純」になっているのがいますでしょう?言葉に囚われすぎるあまり(皮肉なことに)どんどん本来の目的?からかけ離れていく(いる)ことの矛盾に、全く気付くことも考えることもない、おめでたい、んだか単なる<無考え>なのか両方なのか、本末転倒を絵に描いたような手合いが。。。

これって、今回の内容にも全てに当てはまるってお思いにならない?

タバコも本っ当、ヒステリックに声だかに否定しまくる人がいるけれど、そして喫煙マナーの悪くてなっていないヒンシュクをかって当然!の喫煙者も確かにいるものの、マナーを守っている人に対してまで、口ばしを挟むのは「余計なお世話!いらぬお節介!」の世界であって、そんなことは(健康云々も含め)当人の自由であるのに・・・何でそこまで?って、訝しく思いますね、私も。

気にいろうと気にいらなかろうと<吸う自由も吸わない自由もそれぞれにある>という常識、基本的な権利を一部の「嫌煙家」は忘れておいででないかい?と、声を大にして反対に言ってやりたいですわ

三治 said...

>マリアさん
 
コメントどうもです。
札幌の方なんですね。よろしくです。
  
Bloggerでの記名コメント投稿って、やっぱりやりにくいでしょうかね?
私がどうしようといっていじれる部分でないのでアレなんですが。
「その他」のとこにチェック入れるとヌッと名前記入欄が出てくる仕組みなんですけどね。
 
嫌煙家の人にもいろいろいますけどね。若い頃喫煙を強制されて嫌になった、だとか、根性焼きされたトラウマが、だとか、吸いたくても病気で吸えない立場になって腹いせに、だとか・・・
 
ただ、「自分は特段したくない、できない」ことが、「悪いこと」というふうに一度なってしまうと、相手の事情は考えず「許せない」になってしまう(自分は関係ないから)、そこに「みんな言ってるから」とかいう根拠にも何にもならないことを言われると、嫌なんですよね。
誰にでも「本当は悪いことしてる」みたいな罪悪感がまずあって。「本当は自分はもっといい人生を送れる」というような漠然とした不満感があって。
そこに何か、「確実に悪そうなこと」が示されると、ワーッと群がって「悪い!悪い!」の連呼連呼。
小学生の「いーけないんだーいけないんだーせーんせーにーゆってやろー」だとか、えたひにん差別みたいでしょ。根拠が無くて。
しっかりと論理立てて、例えば今まで気付かれていなかったこんな社会悪が「喫煙」にはあった!とかならわかるんですが。
今までもわかりきっていたようなことを重ねに重ねて言われるだけみたいで。今んところ。
 
本当に社会にとって害が多いなら、麻薬がそうであるようにとっくに規制されているはずだと思うんですよね。

Anonymous said...

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