2006-06-07

ナナカマドの花


北海道で一番多い街路樹は、調べたわけではないが、多分ナナカマドだろう。
とにかく多い。冷害風害雪害に強く、さほど大きくならない、というあたりが理由になるのだろうか。
北海道の人間で、この木がわからない、という人はまずいるまい。この木の葉の形や、秋の紅葉、紅葉から春まで残る赤い実は、誰でも知っている。
だが、誰でも知っているはずのものにも、意外と知られていないことがある。ナナカマドの、花である。
いつ咲くのか、どんな花なのか。まるで知らない人も珍しくないのである。

北海道の春の、街の風景。まず、ツツジが咲く。それから、コブシ。サクラ。梅。ライラック。低木高木を問わず、待ちわびたかのように次々と色とりどりの花を咲かせる。
その合間、ちょうど今時期のナナカマドは、鮮やかな赤い実を落としてしまったナナカマドは、あまり振り向かれることがない。
だが、当然ながら、秋に実らせる実の数だけ、花を咲かせているのである。この時期に、可憐な白い花を。

私は、どうやら白い花が好きなようだ。サクラよりコブシが好きだし、水芭蕉やすずらんの群生している場所は多分誰より詳しい。
そして、この時期の夕暮れのドライブには、車窓のナナカマドの白い花が、やはり欠かせないものなのである。

誰にでも目に付くものと、なかなか目に付きにくいものが、世の中にはある。
目に付くものが美しいとは限らない。醜さ故に目に付いて仕方がないこともある。
また、目に付く似たようなものが沢山あれば、他のものが目に付きにくいのは道理である。
そうして、人は目に付くものだけで、全てわかったような顔で生きてしまいがちである。

だが。
囚われずに見て欲しい。
真実は、見えやすいとは限らない。
むしろ、真実は見えにくい所にこそ多いと、私は思っている。

へそまがりなだけだって?いや、そうなんだけどさ。

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