2006-06-25

皮膚と心


私は、アトピー性皮膚炎を持っている。
ご存じの方も多いと思うが、アトピーは未だ原因も、治療法も確立されていない病気だ。
死ぬことはない。伝染ることもない。ただひとり、一生抱えて生きていかなければならない病気である。

よほど小さいころから発症していた。2歳ぐらいからかなり記憶がある私でも、いつからなのか覚えていない。ほとんど生れ付きなのだろう。
抗生物質の、青い蓋のプラスチック容器は、常に側にあるものだった。

幸い、あまり悪化することはなかった。顔など、目立つ部分には出たことが無い。だから、本当にアトピーで悩んだ、という経験も、幼少の頃はなかった。
常に、どこか痒い。ただそれだけのことだった。

高校2年。初めてバイトをして、初めて彼女が出来た頃。付き合うか付き合わないかの頃に、手の指の第二関節から先の表側に、久々にひどく発症した。
それまでは肘膝の裏、顎の下等、汗がたまりやすく弱い、目立たない所が主だったが、これは初めて人目に触れる場所だった。
ひどい症状だった。発疹を通し越し、爛れた。じゅくじゅくと膿のような液が出て、見られたものでなかった。
抗生物質には必ずリバウンドが来るから、あまり病院には行きたくない。彼女にも見られたくなく、弱った。イライラすればするほどひどくなった。
だが、彼女は優しかった。必死に説得され、病院についてきてくれた。薬も塗ってくれた。
みるみるうちに完治した。抗生物質は、一時的に劇的に効く。それから反動が来るのがいつものパターン。だが、その時は反動がなかった。
後に、私を地獄の淵まで連れていった女だが、その一件だけで許してあげたい気分になる。

2度目の転職の時。人生最大規模で発症した。
どうやら、私はストレスが皮膚に跳ね返ってくる性質らしい。
頭皮から腿から背中から、手足の指やらいつもの肘膝の裏やら、凄まじい状態だった。発疹こそ目立たないが、頬すら痒かった。
暫く、頭皮だけが治らなかった。今年の3月頃までだから、実に2年間。抗生物質も効かなかった。
それが、いつの間にやらピタリと治っていたのだ。不思議なものである。

そして、今週火曜。帰宅して。靴下を脱いだ瞬間、足の甲が強烈に痒かった。見れば、見慣れた発疹。
無理もないな、とまた悲しくなった。
それが、昨日は痒さを感じず、今見れば発疹の跡すらない。微かに赤い程度。

体は、正直だね。

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