2006-08-29

にしんと石炭とリゾート

北海道経済の特徴として、「植民地」性があるんだそうだ。今朝の新聞に書いてあった。
言い得て妙である。
北海道を切り拓いたのは、戦に敗れた故か、貧しさ故か、はたまた犯した罪故か。自らの故郷を離れざるを得なかった人々である。
ブラジルやハワイ、中米へ渡った人々と同じく、ゼロから再出発に全てを賭けた人々であった。
違うのは、いつの間にやらそこが日本固有の領土とされたことだ。
国家権力が及ぶということは、そこから利のみを得んとする蝿のようなものもたかるということだ。
そうして、内地では少ない資源を食い荒らし、食い潰したら去ってゆく。その残渣が積もり積もっているのが今の北海道、かもしれない。

古くは、にしん。
かずのこという高級食材のため乱獲され、各地に「にしん御殿」なる奇怪な豪邸が現われた。
乱獲のツケか、今はピークの1/10ほどの水揚げに過ぎない。
そればかりでなく、番屋を建て燃料にするため山は伐られ荒らされ、今も海岸線沿いはずたずたの姿のままだ。

石炭。
三井、三菱、江戸時代から続く大財閥が、次々に各地の山々を掘り崩した。
掘って掘って、枯渇が近づくと、申し合わせたかのようにエネルギーは石油へと変わっていった。
相次ぐ閉山。
しかし、企業とカネだけは内地へと引き上げても。残された人々とヤマは、残り続けるよりほかなかった。
今も、炭鉱マチは30年前の姿のまま。時代に取り残されたかのように立ちすくみ。ヤマは、雨が降るたびに大量の土砂を川へと流し続けているのである。

そして。バブル期には。リゾート開発によりさらにヤマは崩されてゆく。
ヤマばかりではない。
その事業に相乗りした道内企業もまた。
拓銀さん、丸井さん、と、「さん」付けで呼ばれるほど道民に親しまれた企業が破綻し。今も道内経済全体がその余波から抜け切れていない。

いつの時代も、儲けたのは、外から来て引き際を誤らなかった者だけだった。
弱い人々は、それとは気付かず搾取され。気付けば生きる糧すらないまま野へ放り出されていた。
自力で立て、と政府は急かすが。
今まで立たせようとせず、逆に都合の悪いことには目を向けぬよう仕向けたのは一体誰なのか。

まるで、グローバリズムの名のもとに、アメリカ企業に荒らされるどっかの国家の行く末を見るようなんだが。
気付いてんのかね?気付かないよう仕向けられていることに。気付いてんのかね?

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