上から読んでも下から読んでも八百屋です。 ~27~
~特別シリーズ・信頼できる野菜・できない野菜 その2~
単品別の見分け方の話を書く前に、青果物を見分ける時の心得を2点ほど書いておきます。
良い青果物を選ぼうと思う時は必ず、どれかとどれかを比較する習慣をつけて下さい。
前項でも書いたとおり、青果の売場の商品にはいいものも悪いものも混ざって並んでいます。そこで「どれでも一緒」と適当に掴んでしまっても、実際には全くどれでも一緒ではないわけです。ひょっとすると、その売場で一番おいしくないものを掴んでしまうかもしれません。
だからといって、ろくに予備知識の無い人がいきなり売場の山積みになった商品から「これが一番」と見分けるのは至難の業です。でも、両手に二つとって、「どちらがいいかな」なら、少なくとも、「ここが違う」というところに気付きやすくなります。その違うところのどちらが望ましい状態なのか、という知識さえあれば、判断の基準になるわけです。
そこで出来た判断基準を売場にたくさん並んだ他のモノに適用してやると、「いいほう」以下のものは候補から消えます。恐らく半分ぐらいまで減ることでしょう。残ったもので再び「どっち」をやれば、また候補を減らせます。2・3回もやれば、「売場のなかでも相当いい部類のモノ」に辿り着いているはずです。
実はこれは、担当者が日々売場で繰り返していることでもあります。
あまり品質の良くないモノが入ってきた場合や、売場に長い時間いたものばかりが並ぶ夕方過ぎの売場。あんまり良くないモノたちに、「ここまでセーフ・ここからアウト」という線を引かなくてはなりません。全部良くないんだから全部ブン投げる、とやれたら楽なのですが。それをできないのは見て頂いたとおりです。
ある程度の絶対的基準を持っている担当者でも、こうした場合は相対的な比較により微妙に基準の線を修正したり、「ここまでは値引き売り、これぐらいは半額売り、これ以下は一旦引き下げて見切り品・廃棄」という中間基準を作らなければなりません。悪いモノのなかでも優劣はありますから、値引き幅を調整して悪いモノから順に売場から消していく努力をすることでロスを減らそうとするわけです。
それを毎日。売場に並べるたび繰り返すのが青果担当という仕事です。一日に何千点もの商品が売れる売場で、毎日。週2・3回買物に来て、その時並んでいるせいぜい数百点のものから選んでいるお客さんより高いレベルの基準が、自然に出来ていくわけです。
もう一つ。商品を見るときは必ず、上下左右全方角からくまなく見て下さい。
その中でどこが良し悪しを見分けやすいか、というポイントはこれから紹介していきますが、「異変」は必ずそのポイントで起きるとは限りません。あまり言われない・書かれないところから腐る場合もありますし、まだ誰も気付いていない見分けのポイントが無いとは言えないのです。
売場のお客さんより圧倒的に「見分ける時間」が少ない担当者は、ごく限られたポイントに絞って商品を判別している場合がほとんどです。だから、ポイント以外の部分での傷みには気付かない場合も多いのです。
買物するお客さんにとっては、30秒や1分商品を見る時間をとってもなんてことないと思います。なのに、一個2・3秒しか時間が取れない担当者と同じ作業をしてしまってはもったいないと思います。担当者にとっては一日何千点の中の1点ですが、お客さんにとってはその1点しかないのですから。
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