2007-09-10

上から読んでも下から読んでも八百屋です。 ~28~

~特別シリーズ・信頼できる野菜・できない野菜 その3~
 
・単品別鮮度・品質チェックポイント トマト編
 
まずは私にとって担当者として触る機会が多かった野菜について書いていきたいと思います。
順序は、だいたいの売上高の順にしたいと思います。何か順位を書いたものがネット上に落ちてないか探してみたんですが、見つからなかったので3年以上前のうろ覚えですが。
最初は、今や年間を通じ野菜売上げのトップとなった、トマトのお話です。
 
一般的なトマトは、未熟な真っ青の状態で収穫されます。今は結構有名な話になりましたね。
トマトは採った後も赤く柔らかくなっていく、熟していく性質があります。
追熟といって、野菜より果物で多い現象なのですが。甘みや色の元になるでんぷん質の成分が、採った後も徐々に分解変化していくことにより熟していくわけです。
あまり冷蔵保存に向かないトマトを腐らせずにもたせて小売でお客さんの手に渡るまで流通させるためもあり、流通する前に赤く柔らかくなっていると、輸送中に「当たり」と呼ばれる実同士がぶつかることにより部分的にフニャフニャになる傷みが起きやすかったりもあったりで、未熟なうちに収穫してしまうわけです。
とはいえ、味で言えばやはり枝にぶら下がったままの状態で熟したもののほうが、トマト本来の風味があるものが多いようです。さらに、トマトを腐らせるカビやなんかの類の微生物にしたら、でんぷんでも甘みを感じるグルコースでも同じように栄養分ですから、青くても腐るときは腐ります。青みでがっしりしているから日持ちするとは言い切れない部分があります。すぐ食べるなら間違いなく、枝熟で鮮度のいいものを選んだほうがいいでしょう。
よく手で掴んだり色ばかり見ている人がいますが、それでわかるのはあくまで「現在の適熟・軟化の度合い」だけです。追熟だろうが枝熟だろうが赤くなって柔らかくはなるのは同じですから、そういう視点での見分けにはあまり役に立っていないことになります。
どちらも真っ赤になって店に並んでいる、枝熟のトマトと追熟のトマト。どうやって見分けるのか、というと。
ポイントは、ヘタと香りです。
ヘタは、花で言えばガクにあたる部分です。当然、追熟はしませんし、採ってしばらくすると腐りはじめます。皮に包まれた実に比べ、枝から切ったところに断面があるヘタはずっと腐りやすいのです。
割れてぐちゃぐちゃに腐っているトマトを見たことがある人は多いでしょうが、その腐れがほとんどの場合ヘタの側から起きることに気付いた人はいるでしょうか?実割れや虫食いを起こしたトマト以外は、みんなヘタのほうから腐るのです。
袋詰めやパックのトマトだと、そういうあんまりよろしくない所を隠すため、ヘタ側は見えないように実を上に梱包されているので、余計ヘタ側が湿気を帯びやすく白いカビが生えてきやすくなっています。適度な通気性がある梱包をしていてカビがなくても、乾いてカリカリに固くなり、触るとポロポロ落ちるようになります。
カビがひどい場合、店で拭いたりちぎったりして並べている場合もあります。どんな形であれ、ヘタに異変や不審な点があるトマトは、採って日にちが経っている、と思って間違いありません。
逆に、実は真っ赤に熟れているのにヘタが青々としてしなやかなトマトというのは、完熟してから採って、しかもまだ日が浅い新鮮でおいしいトマトです。
一見味とは無関係そうで、見逃してしまいそうなヘタですが。実は重要な情報が隠されているのです。
もう一つ、香り。特に一番一般的な桃太郎トマトの場合、未熟で枝から外したトマトは悲しいぐらい香りがありません。本当においしい枝熟のトマトは、鼻を近づけなくてもむせかえるような香りを発しています。香りそのものもトマトの重要な風味の一つですが、それだけでなく他のおいしさの要素を類推する手がかりにもなるわけです。
香りの成分がどうやってできるかは不勉強なため知りませんが、実の中での反応より枝のほうからやってくる成分が重要なのかもしれません。
 
さらにもう一つ。うぶ毛の生えたトマトは甘い、ってご存知ですか?
トマトの実には、よーく見ると必ずごくごく短いうぶ毛が生えています。この毛は空中から水分を取り込んでいると言われ、あげる水の量を減らすと長く多くなる、とされています。
水をあげすぎると、果菜はみなそういう傾向がありますが、水ばかり果実に蓄えて味が薄くなる傾向があります。
最高級のフルーツトマトは、手で触るとぞわぞわするぐらいに毛が生えています。桃かと思うぐらいです。そのぐらい毛が生えたトマトには、甘みばかりでなく全てのトマトの味が凝縮されたような濃厚な味わいがあります。そのぶん値段も上を見たらキリがないようですが・・・
だからと言って、スーパーで売っているトマトも高ければ高いほどいいかと言うと疑問もあります。一般論ですが、高い商品ほど店にとっては在庫の回転が悪い商品だからです。高いからおいしいだろう、とろくに見ないで買ってしまうと、しばらく在庫したせいで過熟でふにゃふにゃ、味もボケたトマトを掴まされる危険があります。
しかも、高い商品を値引きするとロスが大きいので、ためらってしまう担当者もいます。高い商品には高い品質基準が必要、と頭ではわかっていても、980円のトマトを10個半額にしたら4900円のロスです。ついつい二の足を踏んでしまいがちになるのです。私も新人の頃はよくやって怒られていました。
信頼できる担当者の店でもなければ、青果には「見なくてもいつでもいい商品」というのはなかなかないものなのです。
 
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