2006-08-20

明日に繋がるもの

延長15回。とうとう決着は持ち越しとなった。
どちらが優勢とも言えないままに。試合は終わった。
田中。斎藤。両エースは共に160球以上を投げ抜き、最後まで球威は落ちなかった。
散発で巧打は出たが。共に得意としていた連打でのビッグイニングは生まれなかった。
ここぞという場面での両投手の集中力は、桁外れだった。
しかし。明日に繋がる中身という意味では、どうだろうか。
多分に主観に左右されがちな部分である。が。私は、駒大苫小牧が有利ではないかと考えている。

この試合の駒苫の先発は、エース田中の温存だけでなく、二人のレギュラー背番号選手をベンチに置いたものだった。
背番号4、セカンド山口。
昨年の大会にも外野手として出場し、秋までは1番を打ち俊足巧打、さらに守備を期待された選手だった。
甲子園ではなかなかヒットが出ず、2戦目でようやく2塁打1本。準決勝で2本の長打を放ち、打撃は上り調子だった。
しかし、準決勝で3度の悪送球。智弁に迫られる要因にもなってしまった。
背番号7、レフト岡川。
シュアな打撃と守備を買われ、最激戦区の外野で定位置を確保し、2戦目までは1番を打っていた。
しかし、打撃で結果が出ず。3戦目から先発を外れた。
その二人を。香田監督は勝負所で投入した。
10回。1死2塁。代打、山口。結果は死球であったが、チャンスに登場した山口は、実にいい目をしていた。
その後多数あった守備機会も。好守で応えた。
10回の守備から入った岡川。12回、1死満塁のビッグチャンスで打順が回る。
4球目、スクイズ。ワンバウンドのスライダー。失敗。
しかし。岡川は俯かなかった。打つ前から怯えた目をした彼の姿は、もうなかった。
6球目。鋭く振りぬいた打球は、三遊間を抜けた。
その後14回にも先頭でレフト前に運び。「1番」とし仕事を果たした。
香田監督の掲げる全員野球とは、先発9人だけをさすわけではない。ベンチ入り18人、さらには100名を超えた部員全員をさす。
秋の大会から40人もの選手が入れ替わりベンチに入った。昨夏レギュラーの鷲谷すら、春の全道はベンチにいなかった。
チームのために。時に冷徹にすら見える采配だが。選手達は監督の愛情を。期待を。信じている。
だからこそ、スタメンを外された選手が。蘇って帰ってくる。
フォア・ザ・チーム。
香田イズムの徹底をさらに一歩進めた駒苫が。明日に繋がる何かを掴んだように思うのだが。

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