2006-09-14

狭いもんだね。


世間なんて狭いものである。

今の家に越して1年半になるが、全く知らなかった。
大学を出てから6年、まるで音信不通だった同級生が、夫婦で向かいのアパートに住んでいたのだ。
彼は室蘭の出身。4年間を共に過ごした大学は札幌。そこそこ親しかったのだが、その後どこに就職したのかも何も知らなかった。
わざわざ連絡を取ったりしない性格な上に、私は就職活動というものを全くしなかったため、4年生の過ごし方が他の学生とは全く違っていた。余計に「その後」の情報は何も無い。
今朝、いつものように欠伸をしながら車庫から出たその瞬間。その彼が向かいのアパートから夫婦でごみ袋持って出てきたのだ。
あぁ!とは思いつつ、ついそのまま通過してしまった。
そのうち声ぐらい掛けられる日が来るかも知れないが。向こうは多分気付いていないだろうから。放っておく。

昨年、東京でプレゼンがあった時の話。
会場のホテルの受付の人が、どうにも見覚えがあった。
名札を見た。「O」。やっぱり。
小学校の頃、ひどい泣き虫で被害妄想で、作文に「僕はいじめにあってます」と書いて総スカンを食っていたあいつだ。
私は、彼曰く「唯一の友達」だった。私は、他の友達の意図を彼の被害妄想を刺激しないように伝えることが出来たからだろう。いじめなんかどこにもなかった。
そんな彼が、全く私には気付かず、すました顔で職務を遂行していた。ひょっとしたら気付いていたのかも知れない。気付かないフリはプロ意識かも。
そう思って、やはり放っておいた。
彼は元気だ。それで十分じゃないか。

先日。免許の更新に行った。
写真を撮りに、向かいの写真屋に入った。
前の職場で一緒だった女の子が、推定20kgぐらい太った姿でちょこんと座っていた。
仲が良くなかった。むしろ嫌いだった。彼女は私が一番苦手な、女子女子とした構ってチャンだったのである。
だが今は。逃げ場が無い。
「おま、何やってんのこんなとこでww」
そうは言ってみたものの。後は続かず。世間話をするでもなく。完全な写真屋の店員と客である。
ありがとうございました。はいどーも。
それっきり。おしまいだ。
だが、よく考えたら先の2例よりは数段、人らしいやりとりをしている。
仕事で付き合いがあったというのは、そういうものかもしれない。

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