はるばる来たぜ函館

はるばる？函館って同じ北海道でしょ？ってな声が聞こえてくるようだが。
はるばる、である。私の住む千歳から函館までは、270kmある。
高速も全線では使えないから、車で４時間かかって来たのだ。
ちなみに稚内や釧路なら５時間、根室や知床なら６時間以上かかる。
北海道の広さをなめてはいけない。

さて。函館である。仕事で来たのだが、待ち合わせより２時間早く着いてしまった。
早めに着くつもりではあったのだが、何せ時間がありすぎる。
仕方がないから、あくまで仕方がないから少し観光しているのだ。仕方なくだよ、仕方なく。

実は、函館に来たのは初めてなのだ。
全道を飛び回る仕事ながら、函館方面にはあまり取引が無い。
修学旅行も函館は通過だったし、観光だけで来るには遠い。
少なからず、テンションが上がっているようである。
ずっと来たかったんだ。何せ函館には、五稜郭がある。城大好きな私には、北海道で一番来たかった街と言ってもいいかも知れぬ。

慣れない街をうろうろ走ると、写真でしか見たことがなかった建築物が見えた。

五稜郭タワーである。
馬鹿と煙はなんとやらいう諺通り、私は高いところが大好きだ。
しかも、五稜郭を真上から見渡せるに違いない。躊躇なく上ることにした。

エレベーターを待ちながら、ふと気が付いた。
私は、浮いている。
何せ仕事で来たのだ。観光客だらけの中たった一人で、社名の入った作業着姿である。
くすくす笑ってしまった。
修学旅行ですら制服がイヤで、自由行動用に山ほど私服を持ち込んだ私であったのに。
歳をとれば、人は図太くなるもんである。

期待以上だった。星型をまるごと眼下に見渡せる。
このテの観光タワーでは一番ではなかろうか。

しかも紅葉まっさかり。
至福であった。私服でないことなど忘れるほど至福だった。

函館といえば函館山の夜景だ。夜はこっちの高いところも制覇しようと目論んでいる。



城跡公園を散歩しているうちに時間になってしまった。
さて。仕事だ。
早めに終わりますように。
　
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